日本学と聞いてどんなことをイメージしますか?
文学や史学といった他の専修と比べるとイメージがしにくいかもしれません。
それは、日本学が学際的な研究や教育を目指す領域だからです。
日本学専修は、日本を自明なものとして捉えるのではなく、歴史学、民俗学、人類学、文化研究、ジェンダー・セクシュアリティ研究、表象分析といった多様な方法と視点から日本にアプローチします。
そして、一国的な研究の枠組みではなく、日本を広く超えて展開される新たな日本研究の可能性を模索しています。
そんなスリリングな知的作業に、あなたも加わってみませんか?

論文の読み方や書き方、文献調査・インタビュー・プレゼンテーションの仕方など、基本的なアカデミックスキルを学びます。

近現代日本の社会・文化について、ビジュアルを含む史資料をジェンダーなど多様な視点から読み解く力を養い、議論する演習です。

どんな授業があるの?

(文学部日本学専修の場合)

  • 日本文化学講義
  • 日本思想史講義
  • 文化交流史講義
  • 比較文化学講義

講義題目例

  • 近代日本の沖縄経験
  • 近世思想史再考
  • 戦後日本史 1972-2025
  • 日本の美術を中心とした視覚文化におけるジェンダー表象/表現の研究
  • 民俗学演習
  • 日本思想史演習
  • 比較文化学演習
  • 日本学研究方法論演習
  • 日本文化学演習
  • 日本学演習
  • 文化交流史演習

演習題目例

  • 日本学事始め
  • 「記憶の場」を歩く
  • 視覚文化とジェンダー
  • 地域におけるオーラル・ヒストリー

日本学ってどんなところ?

(学生インタビューより)

研究テーマの選択肢が広かったから。もしも、途中でテーマが変わっても教員が受け入れてくれる懐の広さがあった。例えば、教員の専門ではない「妖怪学」をやりたいと言ったら対応してくれた。

研究の方法やレポートの書き方、発表の方法を教えてもらえる。2年生の時に授業で教わった引用の方法やフォーマットは卒業論文を書いている現在でも使っているし、役に立っている。

とても訪ねやすく、過ごしやすい。特に、2年生の時から研究室に来ることができるので、卒論の中間発表などを院生が助けてくれることが多々あった。

いろんな研究テーマに取り組んでいる人たち、また「人間」に興味を持っている人が集う研究室だから、そこにいる「人」にも関心を持ってくれる。教員も学生のやりたいテーマに歩みよってくれる。一緒にそのテーマに詳しくなってくれるから心強い。

研究室を訪ねることは「メリット」しかない。みんなでお話しましょう。コロナ禍で大学に来られない時期があったのに、それでも友人ができて、一緒にいろんなところに行けたのは、この研究室だからこそ。何のテーマに取り組むのか決まってない人は、まず研究室を訪れてみてください。

活動紹介

日本学専修では、教室を飛び出し「現場」から歴史や社会を捉えるフィールドワークを重視しています。2025年11月、日本学専修の学生30名ほどで大阪市天王寺区にある日本最古の陸軍墓地「旧真田山陸軍墓地」を訪ねました。

そこには明治以降の膨大な戦死者や病没者が埋葬されていますが、学生たちの視点は単なる「お墓参り」に留まりません。墓碑の形や埋葬のされ方の変化を学び、当時の社会背景を読み解きました。

「旧真田山陸軍墓地とその保存を考える会」の方から解説を聴く履修生。

「背景の発見」に驚く

Sさん(2回生)は、明治期に遺族が遺体を引き取れなかったという当時のインフラ事情が墓地設立に関わっていることを知り、「背景を知る重要性」を実感しました。

「意外な死因」から日常を見る

Mさん(2回生)は、墓碑に刻まれた戦死以外の「日常生活での事故」という記録に注目。美化された戦士像ではない、兵士のありのままの姿に触れました。

「街の中の戦争」を歩く

Sさん(3回生)は、日常の風景の中に残る巨大な空間に驚くとともに、個人墓から合祀へと変わる墓碑の変遷から、戦争のあり方が変化していく過程を掴み取りました。

教科書を読むだけでは得られない気づきが、この専修のフィールドワークには詰まっています。
あなたも身近な街の歴史から、「日本」を捉え直してみませんか?

2024年に豊中市と沖縄市は兄弟都市提携50周年を記念して数々の関連イベントを開催しました。なかでも、平和学習プロジェクト・沖縄スタディーツアーの企画と運営に日本学専修3年生のUさんと大学院生の石川勇人さんが関わりました。Uさん・石川さんはチューター役として、このツアーに応募した豊中市の高校生8人と沖縄市を訪ねました。

両市の高校生はひめゆり平和祈念資料館などの沖縄の戦跡をめぐるフィールドワークや、事前学習の成果を報告する平和交流、グループワークなどを含む2泊3日の行程を終えました。最終日には、沖縄市職員と、沖縄市の高校生数名が空港まで見送りに出向いてくれたそうです。

今回が初めての沖縄訪問となったUさんにスタディーツアーの感想を聞きました。高校教育における平和学習で多少は知識を得ていたと思っていても、実際に沖縄を訪れて、大学生になって研究という視点を持って別のものが見えたことや、沖縄戦について調べていく必要性やその学びを継続する大切さを発見した、と話してくれました。

豊中市・沖縄市兄弟都市提携
50周年記念事業ロゴマーク
[1日目]那覇空港に到着後、ひめゆり平和祈念資料館へ
[2日目]高校生交流のグループワークに使われたメモ。フィールドワークで考えた意見を書き出し、各グループで発表後にまとめる際に貼りだされた。(写真提供:豊中市人権平和センター)

授業を通して学んだオーラル・ヒストリーの手法を活かし、コロナ禍に伴う人々の感情や経験を聞き取る活動に取り組んでいます。2022年、23年のまちかね祭では、ブースを設けて聞き取りを行い、大阪大学出版会から3年間の活動をまとめた書籍「コロナ禍の声を聞く」が上梓され、販売されました。

ある男性は、父親の古希祝いが鵜飼船での開催に変更されたことなど、コロナ禍は悪いことばかりではなかったと振り返りました。また、現在まで苦境に立たされている悔しさを語ってくれた大学生もいました。話し手も聞き手も災禍の当事者という語りの場において、自分以外の人の感情にふれたことで自分自身の記憶が活性化されたというのは、とても刺激的な経験だったと感じます。

また、これらの活動を通して、他大学の教員や学生を交えたシンポジウムや、朗読会を実施するなど、コロナを「共通言語」とした繋がりが広がっています。このプロジェクトは、今後も継続してゆく予定で、他専修と連携したプロジェクトも構想中です。

出版という大きな一区切りは迎えましたが、これからも日本学からの発信は続くので、ぜひ興味があればご参加ください。

コロナ禍の声を聞く
『コロナ禍の声を聞く』
安岡 健一 :監修
大阪大学日本学専修
「コロナと大学」プロジェクト :編
大阪大学出版会/2023